地域で支えるということ
みなさん、こんにちは!7号病棟のブログの順番が回ってきました。
いつもはレクレーションを通して、病棟の患者様の様子をご紹介するのですが、今回は最近あったある患者様の退院支援の一部をご紹介したいと思います。
在宅で頑張っておられる患者様は、何かのきっかけで(それは季節の変わり目で急に寒くなったり、あるいは暑くなったりといったこともあります)調子を崩すと日常生活が乱れ、お薬がきちんと服用できなくなって、精神症状が再燃し、入院されてくるということがしばしばあります。
勿論、訪問看護やヘルパーさんも利用されているのですが、精神状態が悪くなると他人を寄せ付けなくなることが(拒絶)あって、支援の手が届かないという、ほんとに困った状況が起こるのです。
そうすると、見る見るうちに精神的にも身体的にも具合が悪くなって、排泄物の処理も出来ず、自室で倒れた状態で発見されるケースもあります。
今回はまさしくそういったケースに出会いました。
入院後約5ヶ月、電気も止まって、入院した時のままになっている自室に足を踏み入れることになりました。
退院して生活が再開できるよう自室を甦らせるために、看護師3人で2日に分けて大掃除をしに行きました。
ご本人から、冷蔵庫に食材が残っていることを事前に聞かされた時点で覚悟を決め、想像を膨らませてからは、それはそれは色々な準備が整いました。
そして完全防備の服装や掃除道具・・・とにかく害虫駆除もしなくてはなりません。電気も通してもらわないと作業がはかどりません。PSWさんと電話でやり取りし、まずはそこからでした。
その日は猛暑でした。完全防備になるだけで汗が出て非常につらい状態になったところ、追い討ちをかけるように私たちを襲ったのは臭気でした。
そして食材に涌いた得体の知れない虫!
何がどうしたらこのような部屋の状態になるのか?
ベランダにも汚染された衣類や敷物が出されていました。
後で患者様に聞いてみると、日常生活がどんどんできなくなるにつれ、お部屋が汚れて、最後の方は台所で寝ていたとのことでした。
手前の台所から足の踏み場を作って、バス・トイレ、冷蔵庫のものを処理して、奥の部屋にバルサンを仕掛けて次に備える・・・というところを目標にひたすら作業しました。
水分を摂ることさえ忘れ(というより、清潔な場所がなくて躊躇したというのもありました)、終わった時、一つずつ完全防備を解き、風通しがよくなっていく際の爽快感は何ものにも代えられない感覚でした(笑)。
帰り際、ようやく一息ついて水分摂取。その日は3人とも頭痛など軽い熱中症のような症状を自覚しました(危なかった)。
数日後、再び3人で・・・。今日で完結させたい!
2回目ともなると、要領は得ていて、掃除道具が追加され、自分たちの熱中症対策も完璧。
汚染された布団や衣類、散らかされたゴミなど、次々と運び出し、洗濯機に入ったままの衣類も・・・殆どが再利用できない状態になっていたため、ご本人の承諾を得た上で処分しました。
何かがべっとりとくっついてしまっていた床を磨き・・・ベランダは生ゴミもあったので磨いたあと水をバケツリレーして洗い流しました。
最後にお部屋の中の大切なものを整えていくうち、私たちもちょっと落ち着き、この二日を振り返る時間となりました。
お部屋の乱れは、ほんとに心の乱れなのかもしれません。
患者様の幼い頃の整理されたアルバムを拝見し、「お母様がきちんとされていたんでしょうね」、「健康に育って欲しい、幸せになってほしいって思う気持ちはどの親も同じやね」、「お母様が居られた時は生活が出来ていたんでしょうね」、アルバムからはしみじみとそんなことが伝わってくるようでした。
準備が出来次第の退院日設定とのことだったので、急いでカンファレンスの提案と日程調整をしました。
タイミング良く、各部署が集まれる日程がすんなり決まりました。
さあ、ここからが本番です!
退院に向けて・・・
患者さんとともに、みんなで意見を出し合って、しっかりサポートしていきたいと思います。そして、地域で支えるということを入院時より意識した関わりについて、これからも模索していきたいと思います。
最後に・・・
今回のケースでは精神科看護を五感でしっかり感じ取らせてもらうことが出来ました。
貴重な体験をさせてくださった患者様に感謝です。そして一緒に大変な作業をしてくれたスタッフのお二人、私たちが出払っている間、病棟をしっかり守ってくれたスタッフの方がたに改めて感謝いたします。
長々とお付き合いありがとうございました。
7病棟 師長
更新日:2019年08月05日