急性期治療を中核にした都市型の精神科病院

医療法人聖和錦秀会 阪本病院

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「最底辺」について

1-1病棟 ブログ

 
「最底辺」について、報告します
 
「最底辺」?
といわれてもピンとこないと思いますが、釜ヶ崎のことをさします。
釜ヶ崎っていわれても、、、どこ?と言う感じですが、要は西成のあいりん地区含む周辺の地域のことです。日雇い労働者の街です。
 
あいりん地区と聞くと、どうイメージされるでしょうか?
正直、「汚い・恐い」というイメージでしょうか?
 
先日、夜回りボランティアをさせてもらいました。釜ヶ崎を知り、ホームレスの人々に声をかけていくという内容です。
新今宮の駅を降りると、そこは見慣れない光景でした。乱雑で混沌として、おっちゃんの臭いがする街でした。数歩行くと、道端で寝転がる人がチラホラ。酔っ払いと思われる人にも声をかけられました。
 
どんどん進むと、尿臭がきつくなると同時に、居酒屋やお酒の自動販売機が立ち並び、ディープな世界が広がっていました。そこはまるで、戦後の風景のように思えました。
 
一律80円のジュース類の自動販売機がおいてあったり、コインランドリーがたくさんあって、そこで談笑するおっちゃんも。また、街頭テレビでみんなで野球観戦もされていました。居酒屋さんでは、女将さんと思われる人がお客さんにのせられて、歌謡曲を披露していたりするのも目につきました。
 
一方で日雇い労働者の為の一泊1000円程度のホテルが多く立ち並んでいるがために、外国からのバックパッカーもおられて、英語での説明文があるホテルも見られていました。
 
ここでは街頭テレビがあったり、格安の自動販売機があったりするのに、外国の人が多かったり、少し向こうには阿倍野ハルカスなど高層ビルが立ち並んでいたり。本当に雑然として混沌とした不思議な街でした。

釜ヶ崎から離れて、周辺を見回り、ホームレスの人に声をかけていきました。
みなさん気さくに対応してくれました。話していると、近所のおっちゃんやおばちゃんと変わりないのですが、色々な事情で、路上生活をしているようでした。
 
仕事なんて探せばいくらでもあるんじゃないの?ということを良く耳にします。でも、彼らは高齢な上、面接に行く服も無ければ、履歴書を書く為の読み書きもあぶなっかしい。そんな状態で、雇う人がいるでしょうか?
 
私の父親も、60代で仕事を自主退職しましたが、なかなか再就職は見つからなかったです。よくよく考えれば、ホームレスの人たちも60代以上の人が多く、その年代の人たちは、中学を卒業してから、すぐ働きに出て、工場など専門分野でずっと働いていた。という人が多いのでは?と思いました。その為に、読み書きが苦手な人もいると思います。現に私の父親も中卒で工場でずっと働き、読み書きが苦手でした。
 
私の父親でさえ再就職が困難で、憂うつな気分になったりしたのに、路上生活している人たちが簡単に再就職はできないと思います。憂うつな気分のときに支えになってくれる人間もいない世界で1人で再就職を乗り切れるでしょうか?
 
じゃあ、生活保護は?と言うことですが、生活保護も受けたくないと思っている人が多いのも実情です。自分がやったことに対して、国の世話にはなりたくない。と言われます。
それに、お金が入ったら、ギャンブルやアルコールに使い果たしてしまうのもあります。
ギャンブルやアルコールは1人の世界で生きていく為のコミュニケーションの手段でもあるのかな?と思います。依存症という考えも出来ますが。
そういう人を見て、自分は絶対にあんな風にはなりたくないから、生活保護を受けないという人もいます。生活保護を貰うより、缶集めなどして稼いでいるほうが、よっぽど生き方として崇高だと言われた人もいました。
 
プライドをもち夢を持って生きている人が多くいる世界ですが、社会は彼らを認めてはいません。考えさせられたのは、一つのマンションでした。そのマンションの周囲は以前は日当たりが良いからということで、ホームレスの人たちがよく寝転がっていたそうです。しかし、今は、寝転がっていたところに石を敷き詰め寝転がれないようにしていました。それだけでなく、ホースから水が噴き出るようにもしていました。
水で濡らしてしまおうということです。
 
その光景を見たときはショックでした。しかし、自分が住んでいたら、彼らを受け入れるか?と思ったとき、考えてしまう自分も居ました。
小さいころから、ブルーテントやホームレスの人を見ると親が「近寄ったらアカン」と言っていた気がします。何をされるか分からないということでした。
大人になって考えてみると、何で怖い存在なんだろうと思います。そういう思い込みが、野宿者への襲撃などにつながっていくんだと感じました。ホームレスの人に話を窺うと、からかわれるのは、しょっちゅうで、子供だけじゃなく、大人も来るそうです。
 
ホームレスの人に対する偏見は、精神科患者さんに対する偏見とかなり似ていると思いました。分からないものを拒絶する。知ろうとしなければ知りえない世界。
釜ヶ崎のことを目のあたりにして、この人たちの生活を知りたいし、歴史を学びたいと思いました。
「ルポ最底辺」という本があり、長年釜ヶ崎の人たちと関わっている人が書いている本です。それを見るとより詳しく勉強になるので、お勧めです。

夜空
 


1-1病棟


 


更新日:2012年11月21日
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